今日は効果的なセールス・トークへのヒントです。  「保有効果」とは行動経済学において、自分が所有するものに高い価値観を感じ、手放 したくないと感じる心理現象のことを言うそうです。  人は保守的なもので、新しいものに変えた時に得られるメリットよりも、今のものを失 うことによるデメリットを多く見積もってしまうためにこのようなことが起こると言われ ています。 具体的にはこういう事でしょう。 ・別ソフトに買い変えますか?→不安 ・後継ソフトに買い換えますか?→安心  つまり、商売として考えた場合、現状維持が最優先される行動となり、そして後発は よほどのメリットを打ち出さないと「先行+α」程度では買い替えに至らないということ です。  ですから、売り込み先が現状何も所有していない場合は、たとえ仮にでも如何に所有さ せるかが鍵であり、どうやって他社より先行するかがキーとなってくるのです。一時的に でも所有してしまえば、そして使わせてしまえばこのような保有効果が働いて、そのソフ トを失う事への不安が優ってしまうのです。(売り込み成功!!)  逆に、貴方が後発の立場として、先行社を追い落とすケースを考えましょう。  貴方が売り込みたい技術・製品を○○、先行を□□とします。 『○○は□□と機能は同じで、サポート料も含めて格安でご提供します』 この売り込みでは多少値段が安くても将来への不安が先行し、多くの場合、買い替えには 至らないでしょう。  この不安を払拭し、買い換えに至らせるには     『○○はこの点が□□より優れています。』 という、結果としてどれだけ差があるのかは別として不安を上回るメリット (らしきもの)をアピールする必要があるということです。  でも、この手の売り込みは最初の間は通用しても、ユーザーがベテランであると、自分 の持っているもの、及び買い換える対象を冷静に分析できるようになり、セールス・トー クが効かなくなるので注意が必要です。  結局、やはり先行優位となってしまうのですが、ベンダーさんとの付き合いはソフトを 冷静に判断できるようになったこの時点からが本当のスタートなのです。 『長い付き合いになるか』、あるいは『短い関係で終わってしまうのか』、はサポート さんの姿勢と、適確なアドバイスが左右すると言っても過言ではありません。  又、それに見合うだけの真摯な対応がユーザーの側にも求められていることは忘れては なりません。  真心や誠心誠意がお互いに伴っていてこそ、長いお付き合いなるのでしょう。そう期待 したいものです。